
私、寺井剛史はこの度、3度目の全国技能グランプリ『レストランサービス部門』の決勝に挑みました。
コンテストの結果を先にご覧になりたい方は下記メニューの技能グランプリの結果をクリックしてご覧ください。
技能グランプリとは
技能グランプリは、厚生労働省及び中央職業能力開発協会、社団法人全国技能士会連合会の共催により開催される大会です。
なかなか飲食業の大会で国が関わる大会はないのではないかと思いますが、これは飲食業のサービスの資格である『レストランサービス技能士』という資格が国家資格であることにも関係していると予想できます。事実、このレストランサービス技能士1級を取得していないと(レストランサービス部門に関しては)エントリーもできない大会です。
レストランサービス部門のほかには、かわらぶき、建築大工、園芸装飾などなど、全30の職種の審査が行われます。
中央能力開発機構のサイトには次のように説明があります。
技能グランプリは、熟練技能者が技能の日本一を競い合う大会で、出場する選手は、当該職種について、特級、1級及び単一等級の技能検定に合格した技能士であり、例えば1級技能士ともなれば、職業訓練指導員免許を持っている場合でも1年以上、実務経験のみの場合は7年以上の実務を経験した熟練技能者です。 技能五輪全国大会が青年技能者(原則23歳以下)を対象とした技能競技会であるのに対し、技能グランプリは年齢に関係なく、熟練技能を競う文字通り全国規模の技能競技大会であり、厚生労働省及び中央職業能力開発協会、社団法人全国技能士会連合会の共催により開催しています。 大会の優勝者には、内閣総理大臣賞、厚生労働大臣賞などが贈られます。
中央能力開発機構:https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/ginogpx/index.html
技能グランプリ・レストランサービス部門への出場歴

思えば技能グランプリは、8年前に初めて決勝進出し、運良く初出場で3位に入賞できた大会です。
初出場の際は、何もかもが初めてで出場したのですが、普段の営業通りの笑いあるテーブルを目指して接客し、お客様役の若者がついアドリブで設定にないことをしてしまうくらい(本来やってはいけないはず^^;)盛り上がりました(笑)。
結果、他の選手から「テーブルの盛り上がりと、アドリブへの対応力がすごかった」と手紙をいただいたくらいの対応ができ、3位入賞することができました。とても嬉しかったのを覚えています。
しかし、2年ごとに開催されるこの大会では、6年前と2年前には予選敗退をしています。
4年前は2度目の決勝進出。優勝目指して練習をしたものの残念ながら、この大会でも3位。1度目の3位とは違いかなり悔しい思いをしました。
今回は3度目の正直を目指して挑みました。
決勝に臨む環境を作ることからスタート

過去の大会から思うことなのですが、エントリー時からどれだけ優勝を目指して臨めるか、そのモチベーション作り、環境作りがうまく出来るかどうかが結果の半分以上を占めると思います。
この記事を読んでいる中には、検索で辿りついたサービスマンもいるかもしれませんが、準備できるかどうか、そしてその土台となる優勝を本気で目指しているかどうかは大きなポイントだと思います。
2年前の29回大会は私は予選落ちしていますが、その大会で見事優勝し、さらに全優勝者の中でも成績優秀者だけがもらえる内閣総理大臣賞を受賞した山本氏は28回大会でご一緒した際に、「この若手はすごい!きっと近いうちに優勝する!!」と思ったもので、今でも彼の凄さを私は周りに伝えています。
またメートル・ド・セルヴィス杯という違うサービスコンテストで約8年前くらいに合った関西の若手2人も、近い将来決勝に行くだろうなと思っていましたが、見事彼らはメートル・ド・セルヴィス杯で決勝進出、入賞するような全国トップレベルになっています。
そんなことを言っている私も今回は、優勝を目指す想いとは裏腹になかなか準備不足を解消できないまま当日を迎えてしまいました。
思えば、初出場の際は34歳、今より体力も気力もあったのでしょうが、あの時は事務所で初の社員を雇う準備、自宅の引っ越しなどの作業、契約ごとを処理しつつ、普段の仕事と小さな子供達の世話や家事もしながらの練習。

さて、現在は妻も私の事務所のスタッフとして働いてくれているし、子供たちも大きくなっているので生活面では8年前よりかなり準備できる状況です。また、8年前より基礎技術は確実にアップしているので、ディナーサービスの練習に関して、デクパージュそのものに関しては過去よりも時間はかかりません。
提携レストラン、エタンセールカワモトのみんなのサポートもとても助かり、鴨を焼いてくれたり、練習したあとの備品を洗ってくれたりしてくれ、1人でやると準備後片付けに時間も労力もかかるところ、本当に助かりました。
とはいうものの、ディナー課題に関してはどう動き、どうデクパージュし、どう会話するかなどのシミュレーションはやはり何度も行いますし、時間も要します。
また8年前にはなかった
- 筆記
- ブラインドテイスティング
- カクテル作成
なども課題に含まれています。
環境としては、
- OFFICE GO SEE事業主としての仕事
- プレゼントワインショップの経営者としての仕事
- レストランの支配人としての仕事
も過去よりも増えているので、時間の捻出も大きな課題です。元々自営業なので、自分の公休日というものは月に1度あるかないかです。あとはいつ筆記の勉強をし、いつ実技の練習をするか。
今回は、自分に負けて、その時間を捻出できませんでした。基礎体力のなさ、集中力のなさなど足りないことばかりで不甲斐ないですが、それが実力です。これをコンテストだけでなく、普段の仕事の課題としてレベルアップしなければなりません。
家族を連れて技能グランプリ決勝へ
今回の決勝の舞台は東京ではなく神戸。福岡からは近いので私としては助かります。
実は、過去の大会は妻と一緒に東京入りし、前日を、リラックスして過ごし、当日は応援観戦をしてもらい、ビデオや写真を撮影してもらいました。
今回も同様にしようと思っていたのですが、8年前は保育園児だった子供達も長男は小学5年生。今回のエントリーを最後にし優勝する姿を子供にも見せたいと思っていたので、家族で神戸に臨むことにしました。中学生になったら見に来てくれないでしょうしね^^
子供たちには小旅行気分も味わわせたかったことと、当日の朝の新幹線で向かい、何かあって間に合わない不安もあったので、前日の夕方に北九州を出発し、当日早朝に大阪に着くフェリーで向かうことにしました。

アスリート的な考えも持っている私としては、この“子どもと一緒に”というのは甘く、そんなでは優勝できないと思ったりもしますし、同様に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私はふだんから飲食業の良いところは仕事で頑張っている姿を家族にも見てもらえることだと思っています。レストランのスタッフの家族が食べに来てくれることは、本人以上にご家族は嬉しいでしょうし、私たち同僚もとても嬉しいです。
そんな飲食業のサービスのコンテストを家族に公開したいなという想いで今回は子供も連れて行きました。優勝できれば何よりですが思うように練習できず、「こりゃ優勝は厳しいな・・・連れて行くんじゃなかったかな。。。」と思う時期もありました^^;
そんな中、ディナー課題に関しては、エタンセールカワモトのみんなのサポートがあり、ある程度まで仕上がり当日に臨むことができました。前日には包丁を研ぎなおし、靴を磨きなおしました。
もちろん、靴は前回の私の記事の飲食業におすすめの靴です^^
レストランサービスコンテスト決勝当日
船は予定どおり大阪に早朝に着き、神戸に移動しました。会場であるホテルに着くと、既に到着していた顔見知りの選手が私を見つけ声をかけてくれました。その後、続々と集まる全国のサービスマンたちと名刺交換をしました。
過去の大会やセミナーでお会いした方もいれば、全く初めての方もいます。そして毎回、初めての方の中にはブログ見ていますとか、過去の大会でのお名前見てますとか言ってくださる方がいて、私がする小さな発信も見てくれている人が実際にいるのだなと嬉しく思います。
今回驚いたのは、「寺井さんの動画見ました!」と言ってくださった方がいて、「え!?動画ですか??」と尋ねると、「You Tubeで見ました!市か何か公的な動画でした。かっこいいなと思いました!!」と。帝国ホテルのウェイターに言ってもらえるなんて嬉しい限りです。
決勝がはじまりました
私は選手番号6番で、午前中に筆記、ブラインドテイスティング、カクテル作成、午後にディナー実技でした。
そして、午前中に撃沈・・・筆記が全くできませんでした。この時点で優勝は無理かなと覚悟しました。
ディナーの出来が素晴らしかったとしても、筆記の点が加算されれば、ちょっと厳しいくらい解けませんでした。
ディナーに関しては、私は元々あまり緊張しないタイプで、過去の決勝でも極度の緊張というのはなく、今回も同様だったのですが、やはり練習通りに出来ないことなどはありました。
完全に失敗したなと思う点がいくつか、もう少しこうすればよかったなと思う点がいくつかありましたが、完璧にできることは、そう簡単にはないので、一応、合格点が出せる程度の実技内容だったと思います。
多分ですが・・・実技だけなら、かなり上位に食い込めたのではないかと思います。
終わったあとは、絶対優勝は無理だという凹んだ気持ちというか自分への後悔の気持ちというかは、筆記対策をサボりしぎたことと実際に筆記が出来なかった実感からです。
終わって帰宅までは、ため息をついたりもしていましたが、子供たちと一緒で良かったのは、この無念な気持ちを晴らしてくれたことですね。

大阪でたこ焼きを食べて、串カツ食べ放題に行って、再度船に乗って北九州へ。
翌日の日曜日の朝に北九州の門司に着き、そのまま帰宅し、レストラン営業のため仕事へ。
レストランの仕事の後は、そのままレストランの歓送迎会。なかなかハードです(笑)
そこでは、なんと、昨年末の私の技の達人の受賞のお祝いもしてもらいました♪



技能グランプリの結果
技能グランプリは金曜日に開会式、土日に審査、月曜日に閉会式があります。
飲食業からすると店を休みにくい日程なのですが、ほかの29職種の方からすると土日のほうが好都合でしょう。また大工さんは2日がかりでの実技でしょうから、その後の採点、月曜日に閉会式で表彰というのもよく分かります。
さて、その結果が午後になると厚生労働省のサイトにありました。
どきどきして結果をみると・・・
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残念ながら、敢闘賞でした(泣)。。。
過去の3位(2011年は3位という順位で2015年は銅賞となっていましたが、今回も金銀銅でした)にも及ばない結果でした。
初挑戦のころなら喜んでいたかもしれませんが、正直、ため息しか出ません。。。
今後について
コンテストに挑むのは精神力も必要ですし、体力、時間の調整など、しんどいです。でもこれはまだ頑張れます。
今回特に思ったのは、経営者として経営にゆとりがある程度ないと、どうしてもコンテストへの精神的な余裕と時間が捻出できません。
プレゼントワインショップの運営に行き詰まりを感じていたことは、コンテストへのモチベーションに大きく影響があったように感じます。https://present-wine-shop.derisomu.com/
やることがあって忙しいのはまだ簡単で「おかげさまで忙しくて」と言える状況は頑張ってクリアする気力が生まれやすいです。でも、好転させるためにこれもやってみなきゃが続いている状況は別の何かへのパワーを生むのが難しい。
2015年大会で3位に終わったときは次は絶対に優勝と言えましたが、今回は心の余裕がなく、『次もエントリーします宣言』はすぐにはできそうにありません。なので、まずは目標として2年後にエントリーできるくらい事業を安定させることです!!
これが出来て初めて、コンテストへの心の余裕が生まれるものですね。
最後に、今回の出場にあたってお会いした際に応援してくれた皆様、フェイスブックで応援してくれた皆様、メールで応援してくれた皆様には本当に感謝しております。
スポーツ選手が応援が励みになると言っていますが、もう練習やめたいなという気分を吹き飛ばしてくれるのが皆様からの応援だと思います。今回はなかなか準備できない中、なんとか実技の準備ができたのは皆様の応援あってものもでした。
そして、サポートしてくれたエタンセールカワモトのみんな、そしてタイミング的にちょうど技の達人のデクパージュディナー(@エタンセールカワモト)にお越しくださり、デクパージュでの接客という普段できない体験をさせてくれたお客様とその場を作ってくれた川本オーナー、最後に公私ともにサポートしてくれた家族には本当に感謝してもしきれません。
優勝でお礼ができなかったのが本当に本当に残念でふがいないです。
2年後、どうなるか分かりませんし、どうにも優勝できない私ですが、今後とも応援していただけたら幸いでございます。
2019年3月5日 OFFICE GO SEE 代表 寺井剛史
この記事を書いている人
OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ
寺井 剛史(てらい つよし)

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ