「ヴァケラス ブラン キュヴェ ル パンシャン」の香りや味わいコメント

「ヴァケラス ブラン キュヴェ ル パンシャン」の香りや味わいコメント

生産者 ぶどう品種 ヴィンテージ 生産国 地方
ドメーヌ フォン サラド ルーサンヌ、ヴィオニエ、他 2022 フランス ローヌ
Alc 参考価格(税別) 輸入元 試飲日
14 ¥3,800 稲葉 11/26/2024

「ヴァケラス ブラン キュヴェ ル パンシャン」レビュー

ワインの外観

ヴァケラス ブラン キュヴェ ル パンシャンの外観

輝きあるレモンイエロー

ワインの香り

グラスを回す前:オレンジ、マルメロ、赤肉メロン、オレンジ色の花、金木犀

グラスを回した後:清涼感、ミント、小葱、針葉樹、鉄っぽさ

ワインの味わい

厚みある食感で滑らか、凝縮感あり力強い果実味、オレンジ、パパイヤ、若干ネクタリン、酸強めでミネラルも強くタイト、若干のほろ苦さに、蜂蜜のような風味がAlcの甘いボリュームと一体化

その他コメント

ソムリエ寺井
オーナーソムリエ寺井
冷やし過ぎずにどうぞ
ヴィオニエ由来と思われる花感たっぷり
季節

グラス 温度 軽重度
(10段階)
大ぶりびわ 14℃前後 7

月額330円のエクセルには、「ワインの8段階評価」と「プライベートで買うかどうか(5段階)」も記載しています。詳しくはワインコメント一覧と会員についてへ。

「季節・温度・料理・好み・グラスについて」を読む

ワインを美味しく飲むための大きなポイントは、温度とグラスです。これらを変えるだけで全く味が変わります。私たちサービスマンはこの2つを工夫するだけでお客様に家で飲むよりも美味しいワインを提供できます。

そしてもう1つ、意外と季節でも味が全く違います。食材が変わるから?もちろんそれもありますが、料理ナシで飲んでも違うんです。温度や湿度など色々な影響を受けて味覚の体感が違うのでしょうね。

このワインコメント投稿で「合う料理」に言及することは稀(まれ)です。というのも、同じ料理名でもちょっとした味付けの違いで相性が変わり、情報として発信するには、ブレ幅が大きすぎると考えるからです。

さて、グラスについては私独自の「果実のびわ」などの言葉がでます。どんなグラスを指しているかや、飲食店や家庭で揃えるべきグラスについては今後、写真付きの記事にしたいと思っていますが、ひとまず「びわ」はいわゆるボルドー型のものと思っていただければ幸いでございます。

ワインコメント投稿のコンセプト

「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。

プロのワインコメントを知りたい時がありませんか?…でも、検索しても輸入元の説明をコピペした商品がHITし、私たち飲食業が参考にしたいプロのコメントを見つけるのは困難です。そこで自分でアップしようと思い、頑張ってアップしています。月額330円でこの情報をエクセルでまとめたものも入手いただけます。詳しくは下記をご覧ください。

ワインコメント一覧と会員について

輸入元情報

今まさに変化している、ヴァケラスの新世代のドメーヌ
ドメーヌ フォン サラドは、ヴァケラスの北のポンシュの高台に位置する家族経営のワイナリーです。オーナーのベルナール ビュルルは、弊社のローヌワインの原点と言える造り手、エドモン ビュルルの長男です。ベルナールは実家のあるジゴンダスを出て、隣村のヴァケラスにあるフォン サラドを2002年に義父から引き継ぎました。その後の2004年にエドモンが他界し、実家のワイナリーであるドメーヌ ビュルルが残されましたが、弟たちが後を継いでいます。ワイナリーはとても近いため、ベルナールが弟たちにアドバイスをすることもあります。

2015年には、ベルナールの娘であるクレールがドメーヌに参加し、近年のワイン造りに大きな影響を与えています。クレールが参加してからのワインは、南ローヌらしい力強さを持ちながらも、洗練されたモダンなスタイルに仕上げられており、エレガンスを感じさせます。クレールは1993年生まれで、モンペリエ醸造大学を卒業後、オーストラリアのワイナリーで研修しました。若いですが非常にしっかりとしており、私たちが訪問した際には、おしゃべり好きな父とその兄弟たちが大騒ぎするのを一喝する場面もあるほどです。聡明で快活な彼女の働きが、フォン サラドのワインをさらに磨きがかかったものにしており、今後も非常に楽しみな造り手と言えます。

また、クレールが参加した2015年に、ベルナールが娘のためにと新しいセラーを完成させました。セラーには200hlのコンクリートタンクが16個、120hlのステンレスタンクが10個あります。以前までは800hlしか醸造できなかったため、全てのワインを自社で生産できず、他の生産者へ販売することもありました。現在は2倍以上の1700hlを醸造できるようになっています。タンクの内部は合成樹脂でコーティングされています。タンクの温度管理は手動から自動になったため、とても機能的になりました。セラー内はとても清潔に保たれていて、「シルクのような滑らかな肉付きのあるワイン造りを目指している」という言葉通りのワインが出来るのも納得です。 また、醸造設備等はモダンになっても、伝統的な造り方を忠実に守っています。品質にはこだわりを持っていて、納得出来ない品質の葡萄は売ってしまいますし、A.C.として納得できないものはV.d.P.に回しています。

ヴァケラスとジゴンダス――2つのクリュの違いについて
フォン サラドはヴァケラスとジゴンダスの2つのクリュからそれぞれワインを手掛けています。ジゴンダスは赤ワインとロゼワインしか生産できませんが、ヴァケラスは赤とロゼに加え白ワインも生産できます。どちらも赤ワインの主要品種はグルナッシュで、南ローヌらしい力強いワインではありますが、ヴァケラスの方がエレガントで、ジゴンダスの方がパワフルに仕上がることが多いようです。

「ヴァケラスはシラーを、ジゴンダスはムールヴェードルを多くブレンドしています。ヴァケラスは標高が68~254mとそれほど高くありませんが、様々な要素のバランスが良いワインです。ジゴンダスは標高が87~698mと高く、土壌は粘土が多くなります。ワインのスタイルはより丸みがあって重く、アルコールのボリュームも感じられます」

「プライドを持ち、品質にこだわる」
「甘みがあって、リッチなスタイルをしかもお値打ちな価格で」がポリシーです。ヴァケラスやジゴンダス、ヴァントゥーで10本の指に入ると自負しています。ヴァケラスのレストランでは、サン デ カイユー等と変わらない価格でオンリストされていました。また、ベルナールはアペラシオン ヴァケラスの審査員もしています。ベルナールは、ワイン造りのアドバイスをするために次男と三男(E.A.R.L. ビュルル)を訪れます。

畑は粘土質の多いマール土壌です。2016ヴィンテージからクレレットを加え、それによりフレッシュさが出ています。収量は32hL/ha、収穫は手摘みで行います。収穫後、葡萄が酸化しないようドライアイスで温度を低く保ちます。’16VTは梗まで熟していたので、除梗せず、全房圧搾しました。茎がついていると葡萄の粒が潰れて、よりプレスをしやすくなり、果皮からの成分を抽出しやすくなります。低温で静置して澱を沈めます。全体の80%はステンレスタンクで、残りの20%は新樽で発酵、6ヶ月熟成させています。清澄、軽くフィルターをかけてボトリングしています。青りんごを思わせるピュアなアロマ、非常にフレッシュでありながら、まろやかさも感じられます。余韻にかすかに感じるほろ苦さが、ワインに複雑さを与えています。「パンシャン」とは傾斜、斜面の意味です。

この記事を書いている人

OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ

 寺井 剛史(てらい つよし)

ソムリエ寺井剛史

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。

北九州「技の達人」認定者 / 福岡県知事表彰 受賞
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ