イ・ムーリ・ネグロアマーロ(ヴィニエティ・デル・サレント)
生産者 ぶどう品種 ヴィンテージ 生産国 地方
ヴィニエティ・デル・サレント ネグロアマーロ 2019 イタリア プーリア
Alc 参考価格(税別) 輸入元 試飲日
14 ¥1,600 稲葉 2022/4/25

「イ・ムーリ・ネグロアマーロ(ヴィニエティ・デル・サレント)」レビュー

ワインの外観

イ・ムーリ・ネグロアマーロ(ヴィニエティ・デル・サレント)の外観

やや透明感あるダークチェリーレッド

ワインの香り

グラスを回す前:黒果実をスパイスで煮たような、ペッパー、コリアンダー、セージ

グラスを回した後:チェリーリキュール、リコリス、シガー

ワインの味わい

思ったよりさらり&柔らかい食感、チェリーをスパイス煮したような果実味、シナモン、バニラ、リコリスなどスパイスとハーブ感、アルコールのボリューム感あり甘みを伴うほど、タンニンは比較的穏やか、

その他コメント

ソムリエ寺井
オーナーソムリエ寺井
飲みやすさある食感ながらしっかりと味わい深くアルコールの力強さもある赤です。
1,600円でこの酒質はコスパ良いですね。

合う季節:冬。ネグロアマーロはしっかりした酒質の中にしなやかさがあるので春もOK。

おすすめ温度:20℃前後

おすすめグラス:中ぶりの果実のびわ型

「季節・温度・料理・好み・グラスについて」を読む

ワインを美味しく飲むための大きなポイントは、温度とグラスです。これらを変えるだけで全く味が変わります。私たちサービスマンはこの2つを工夫するだけでお客様に家で飲むよりも美味しいワインを提供できます。

そしてもう1つ、意外と季節でも味が全く違います。食材が変わるから?もちろんそれもありますが、料理ナシで飲んでも違うんです。温度や湿度など色々な影響を受けて味覚の体感が違うのでしょうね。

このワインコメント投稿で「合う料理」に言及することは稀(まれ)です。というのも、同じ料理名でもちょっとした味付けの違いで相性が変わり、情報として発信するには、ブレ幅が大きすぎると考えるからです。

さて、グラスについては私独自の「果実のびわ」などの言葉がでます。どんなグラスを指しているかや、飲食店や家庭で揃えるべきグラスについては今後、写真付きの記事にしたいと思っていますが、ひとまず「びわ」はいわゆるボルドー型のものと思っていただければ幸いでございます。

ワインコメント投稿のコンセプト

「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。

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ワインコメント一覧と会員について

輸入元情報

ソムリエ寺井
ポイントと思うところに私がマーカーを引いています

愛情が込められた、契約農家の葡萄とプーリアの気候が生み出す自然のアパッシメントを生かしたワイン造り
鉄分を含んだ赤土、痩せた土壌と寒暖差のある気候
ヴィニエティ デル サレントは、プーリア州マンドゥーリアでファンティーニ グループが経営するワイナリーです。2012年に設立されました。マンドゥーリアは、最高のプリミティーヴォが栽培されることで知られています。このエリアの特徴は、他のエリアとは違って葡萄畑は平地にあり、土は赤土、樹齢の古い樹が沢山あることです。
畑の土は赤色をしていますが、これは鉄分を多く含んでいるためです。平坦な土地で、周りに湖はなく、山もないため雪解け水が畑にもたらされることもありません。また、下層土は石がたくさん詰まっていて、土地は痩せています。そのため、葡萄は地中に水分や栄養分を求め深く根を張ります。日中は大変暑く、6月から収穫の時期までの3ヶ月は40度にもなります。しかし、夜は北東のアドリア海から南のイオニア海に向けて冷たい風が畑の中を吹き抜け、昼夜の寒暖差がもたらされます。

畑で、自然に、しかも短期間でアパッシメントの効果が得られるコストパフォーマンスの高いワインが造り出される理由がここにあります
プーリア州のサレントのもうひとつの特徴が非常に乾燥した気候です。葡萄は、実がしっかりと熟すまでは地中から水分を吸い上げ、実に供給しますが、熟した後は水分の供給を止めるため、自然に葡萄の水分が失われていきます。葡萄から水分が抜けていく仕組みはヴェネトで造られているアマローネと同じですが、アマローネの場合は葡萄を収穫し、温度コントロールした特別なセラーで乾燥させるという複雑な過程をとらなければなりません。また乾燥にかける期間も3~4ヶ月必要です。ですが、ここでは、畑で自然に、しかも約2週間という短期間で同じ効果が得られるのです。畑は風通しが良く乾燥しているため、葡萄を腐らせる病気やカビ菌の心配も不要です。アマローネの場合は、実と実が箱の中で密着しているため、湿度のコントロールが難しいのです。アマローネと比べると、質の高い葡萄が低コスト、低リスクで得られるため、コストパフォーマンスの高いワインを造ることが可能なのです。

広大な自社畑は必要ありません。農家が造る葡萄には最大の愛情が込められています
ヴィニエティ デル サレントは古い葡萄の樹を持っている栽培農家と長期に渡る契約を結び、その栽培農家に大切に葡萄を育ててもらっています。そのため、広大な自家畑は必要ありません。広大な自家畑を持つ場合、アフリカや東ヨーロッパからの季節労働者に畑の仕事を任せざるを得ないですが、今まで一度も葡萄を育てたこともない人々に、一から葡萄栽培の仕方を教え、完璧に習得させることはたいへん難しいことです。葡萄を育てるのに最もふさわしい人々に畑を任せるのが一番だと考えています。

ヴィニエティ デル サレントが契約している農家、1軒1軒の所有する畑は小さいです。小さいからこそ、最善の方法で十分に手をかけて畑の手入れが出来ます。しかし、所有する畑が小さいため、一生懸命働いても大金が得られるわけではありません。大型のトラクターを買うといった投資も出来着ないため、葡萄はこのように古いチンクエチェントで醸造所まで運ばれてくることもあります。これもまた、この地域を象徴する写真です。最新のテクノロジーはありませんが、最大の愛情がここにはあります。

熟成
 樽で4~5ヶ月
ヴィンテージ情報
「ムンドゥス ヴィニ2020」金メダル、ルカ マローニ ベストワイン年鑑2021」93点

この記事を書いている人

OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ

 寺井 剛史(てらい つよし)

ソムリエ寺井剛史

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。

北九州「技の達人」認定者 / 福岡県知事表彰 受賞
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ