「チプレア 2021」の香りや味わいコメント

「チプレア 2021」の香りや味わいコメント

生産者 ぶどう品種 ヴィンテージ 生産国 地方
シモーネ・カペッチ (サン・サヴィーノ) ペコリーノ100% 2021 イタリア マルケ
Alc 参考価格(税別) 輸入元 試飲日
13 ¥2,850 フィラディス 2022/10/17

「チプレア 2021」レビュー

ワインの外観

チプレア 2021の外観

輝きあるレモンイエロー、やや透明感高め

ワインの香り

グラスを回す前:芳醇、青りんご、白い花、フローラル

グラスを回した後:シャキッとした感増す、ミネラル、瑞々しさ

ワインの味わい

やや厚みある食感、果実味は青りんごのような爽やかさにほろ苦さも伴う、鉱物的なミネラルがしっかりとあるのにタイトになりすぎずピュアな爽快感、余韻にミネラル感が続く

その他コメント

ソムリエ寺井
オーナーソムリエ寺井
朝露のような瑞々しさに鉱物的なミネラル
ペコリーノをぶどう品種大事典で調べると「ミネラル感やハーブ感のある辛口の白ワインとなり、非常に人気がある」とのこと。
まさに、瑞々しい果実味とハーブ、ミネラル感あるワイン、ミネラル強いが決して堅く強いワインではない。朝露のような自然にスーッと入るワイン。

月額330円のエクセルには、「ワインの8段階評価」と「プライベートで買うかどうか(5段階)」も記載しています。詳しくはワインコメント一覧と会員についてへ。

「季節・温度・料理・好み・グラスについて」を読む

ワインを美味しく飲むための大きなポイントは、温度とグラスです。これらを変えるだけで全く味が変わります。私たちサービスマンはこの2つを工夫するだけでお客様に家で飲むよりも美味しいワインを提供できます。

そしてもう1つ、意外と季節でも味が全く違います。食材が変わるから?もちろんそれもありますが、料理ナシで飲んでも違うんです。温度や湿度など色々な影響を受けて味覚の体感が違うのでしょうね。

このワインコメント投稿で「合う料理」に言及することは稀(まれ)です。というのも、同じ料理名でもちょっとした味付けの違いで相性が変わり、情報として発信するには、ブレ幅が大きすぎると考えるからです。

さて、グラスについては私独自の「果実のびわ」などの言葉がでます。どんなグラスを指しているかや、飲食店や家庭で揃えるべきグラスについては今後、写真付きの記事にしたいと思っていますが、ひとまず「びわ」はいわゆるボルドー型のものと思っていただければ幸いでございます。

ワインコメント投稿のコンセプト

「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。

プロのワインコメントを知りたい時がありませんか?…でも、検索しても輸入元の説明をコピペした商品がHITし、私たち飲食業が参考にしたいプロのコメントを見つけるのは困難です。そこで自分でアップしようと思い、頑張ってアップしています。月額330円でこの情報をエクセルでまとめたものも入手いただけます。詳しくは下記をご覧ください。

ワインコメント一覧と会員について

輸入元情報

生産者の概要

マルケの白の土着品種ペコリーノを現代に復活させ、マルケのペコリーノとして初めてのトレビッキエリを獲得。ペコリーノを牽引する第一人者として揺るぎない地位を築いている。

3つのポイント

  1. カペッチ家が運営するサン・サヴィーノはガンベロ・ロッソでこの 躍進の「けん引役」と称されるペコリーノのトップ生産者だが、この造り手がいなければ、いまだにペコリーノはD.O.C.G.たりえなかった可能性についてはあまり知られていない。
  2. 早熟で皮が薄く、収量の低いペコリーノは、1990年代頃には原産地のマルケの生産者さえほとんど知らない存在になってしまった。この土着ブドウに再度素晴らしい品質のポテンシャルを見出し、復活に導いたのがカペッチ家であった。
  3. ドメーヌのフラッグシップワイン「チプレア」は2008ヴィンテージでマルケのペコリーノで初めてガンベロ・ロッソのトレビッキエリに輝いた他、最良年にしか生産されない赤のトップキュヴェ、クインタ・レジオは、2ヴィンテージ連続でルカ・マローニにより赤ワイン部門のトップ3に選ばれている。

生産者のこだわり

ペコリーノを主体とした白の品質向上に注目が集まるマルケ州。2011ヴィンテージで、この品種を用いたオッフィーダのアペラシオンがD.O.C.G.に昇格した。カペッチ家が運営するサン・サヴィーノはガンベロ・ロッソでこの 躍進の「けん引役」と称されるペコリーノのトップ生産者だが、この造り手がいなければ、いまだにペコリーノはD.O.C.G.たりえなかった可能性についてはあまり知られていない。

ペコリーノは、8月末から9月中旬に収穫される早熟の品種で、熟すのが早くても、糖・酸ともにしっかりのったブドウが得られる。羊がこのブドウを食べるのを見たローマ人がワインを造りはじめた、ともいわれる歴史あるブドウだが、近代に入り10月初旬に一斉にブドウを収穫するスタイルが取られるようになると、早熟で皮が薄いペコリーノは腐りやすい駄目なブドウとして扱われ、植え替えられるようになった。更に、自然と収量が低くなる性質から、1980年代のワインブーム時にはより多産の品種に改植されてしまった。19世紀末のフィロキセラのせいで、元々のブドウの数が少なかったことも影響したと推測されるが、1990年代頃にはペコリーノは原産地のマルケの生産者さえほとんど知らない存在になってしまったのである。

ペコリーノが姿を消した当時のサン・サヴィーノ当主ドメニコ・カペッチも、このブドウについての知識はなかった。しかしドメニコはある日、内陸の村アルクアータの標高700mを超える山の上のワイナリー跡地に、樹齢100年の土着ブドウの古樹が現存しているという噂を耳にし、興味をかきたてられた。「この土着ブドウのポテンシャルがどれほどのものか知りたい」。彼は、一個人の趣味ではなく、マルケに受け継がれたペコリーノのポテンシャルを公明正大に証明しようと決め、この古樹からマサルセレクションで約80km離れた自分の畑に接ぎ木した。1990年にマルケ州政府の支援を取りつけた彼は、トレッビアーノやシャルドネ、リースリングなど、国内外の主要な白品種とペコリーノの比較実験を開始。栽培はサン・サヴィーノが、醸造・分析はマルケ州が担当した。3年に渡る実験の中、州政府の後ろ盾のおかげでつぶさにブドウを観察し、成分分析を行うことができた。

詳細なデータから分かったのは、ペコリーノには優れた白を生み出すポテンシャルがあるということ。この結果を受け、ドメニコは本格的に『失われたブドウ』ペコリーノのワイン造りに取り組んだ。ペコリーノについて十分な知識を持つ者がいない中、先駆者として相当の苦労があったことは想像に難くない。しかし、その情熱は息子であり現当主のシモーネに受け継がれ、彼がペコリーノから生み出したチプレアは、2008ヴィンテージでマルケのペコリーノで初めてガンベロ・ロッソのトレビッキエリに輝いた。マルケの白品種として、名実ともにこのブドウの復活が認められた瞬間である。現在では25haの自社畑のうち、8haにペコリーノが栽培されている。

標高250-300m、遠くアドリア海を望む急斜面に位置する畑では、他にもモンテプルチアーノやサンジョヴェーゼなどの土着品種が植えられている。これらのブドウを用いた赤は、当主のシモーネのおおらかな人柄を反映したかのような豊かな果実と肉付きの良いストラクチャーが魅力である。最良年にしか生産されない赤のトップキュヴェ、クインタ・レジオは、2ヴィンテージ連続でルカ・マローニにより赤ワイン部門のトップ3に選ばれている。

この記事を書いている人

OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ

 寺井 剛史(てらい つよし)

ソムリエ寺井剛史

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。

北九州「技の達人」認定者 / 福岡県知事表彰 受賞
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ