
プレゼントワインショップの姉妹サイト、生まれ年ワインショップでの話です。
生まれ年のワインを専門に扱っているので、古いワインともなれば高額な場合もあります。
今日は、2,3万円のワインの注文約10件がクレジットカードの不正利用によって商品だけを入手しようとした犯罪かもしれないことをお話しします。
追記:被害確定しました。会計処理はどうすればいいんだ?と思い、税務署に相談しました。同じ被害にあったお店様に役立てばと思い、一番最後にその話を書き、タイトルも変更しました。
勘定科目についてだけ知りたい方は、一番最後をご覧ください。
不正カード利用らしき注文の共通点
2021年3月末から先日まで、2,3万円台のワインが調子よく売れていました。
4月12日、私が外出先での打ち合わせから戻るとスタッフである妻が

と言い、ここ最近の2,3万円のワインの注文について次のことを指摘しました。
- 購入時に会員登録にチェックを入れて購入している
- ラッピングは全て赤の包装紙に白のリボン
- のし紙、メッセージカードは無記名(特別なプレゼントであろうに)
- 極めつけは、すべて独自ドメインのメールアドレス
これが10件ありました。
そのうち1件は、お届け先に別人が住んでいると宅配会社から連絡があり、注文者に連絡をしてものの、電話もつながらず、メールの返信もないものでした。

真っ先に思い浮かんだのは、チャージバックでした。
チャージバックとは何かご存知ない方のために説明しますが、知っている方は読み飛ばしてください。
チャージバックとは何か&その被害とは
改めて、チャージバックとは何か。言葉で説明するより、被害までの流れを時系列で追ったほうが分かりやすいと思います。次の通りです。
チャージバックになるまでの流れ
不正入手したクレジットカードで犯罪者が商品をネット購入
↓
お店は商品を発送
↓
カードの本来の持ち主に高額の請求が届く
↓
被害者が自分のカードが不正に使われたことに気づきカード会社に連絡
↓
カード会社は被害者に返金する
↓
カード会社は売上金がなくなり、店に売上金を入金しない
(既に入金していたら返金依頼をする)
↑
これをチャージバックと言います!
そして、チャージバックが起こることにより、お店は売上がなくなっただけでなく、発送した商品は戻ってこない・・・
考えるだけで、ズーンと重く暗くなってしまう被害ですよね。

概ね転売可能な高額商品が狙われやすいです。
ただこの時点では、まだ不正注文と断定できなかったので、注文者に電話してみることにしました。
注文者に電話してみた
10件目の注文が最も不思議な注文だったので気づくことができました。
この注文者は前日に30,000円程度のワインを買っています。
そして今日も3万弱のワインの注文。最初はリピーターと思いました。
しかしメールアドレスが昨日と違う。
そこで電話をしてみることにしました。
すると、女性が出ました。(注文者は男性名)
私:〇〇様ですか?
電話先:いえ違います。
私:大変失礼いたしました。この番号は080~~~~で合っていますか?
電話先:あの、そちらはインターネットのお店さんですか?
私:はい。ワインショップです。
電話先:あぁ・・・ワインショップ3軒目です。
私:やっぱりこの電話番号で誰かが注文してらっしゃるのですね。
電話先:警察からも電話がありました。色々と買ってるようです。スタンガンとか。なんかちょっと怪しい人なのかなと思いました。
私:そうですか。ありがとうございます。
電話先:カードは何か別の人のカードを使ってるようです
私:はい、不正にカードや名前、電話番号を使って商品を購入しているのだと思います。
と言うような会話をしました。

怪しい注文への対処方法
結局、10件のうちの最後の2件の同一人物らしき注文は、被害を免れることができました。
前日注文の9件目は、宅配業者に集荷をしてもらったばかりだったので、戻してもらい、9件目、10件目には電話をしたが別人の携帯だったことをメールし、銀行振込をしてほしい、振り込みも返信もなければキャンセル扱いとするというメールをしました。
さてこのカード不正利用被害にあったお客様、お店、カード会社のうち、どこが最も被害を被る(こうむる)のか、ご存知ですか?それも説明しておきますね。
誰が金額を負担するのか
検索してこのページを見てくれている方には「被害を受けた消費者の方」と「被害を受けたお店の方」がいらっしゃると思います。
まず、消費者の方は、ほとんどの場合は返金されると思います。ただ、ネット上にはカード会社によって対応が異なるようで、すぐに返金処理になる場合と別に、お店に確認してほしいとか色々とあるようです。
ではお店はどうでしょう?カード会社はかなり大きな会社ですし、保険に入っていたり全体の売り上げからすると小さな金額なのでかぶってくれるのでしょうか。
残念ながら違います。
お客様から売上金をもらえなかったので、店に売上分の入金をしてくれません。
カード会社は、店とお客様との決済を仲介しているわけなので、保険に入るなどのケアをしてほしいのが店側である私の希望なのですが、向こうには向こうの立場があるのでしょうね。
ただ、これが慈善事業なら何も言いませんが、カード会社は私たち(店)から売上の数%の手数料を回収しています。
カード会社のビジネスモデルは手数料収入なわけです。
これ結構、一般消費者の方は知らない方も多いようです。

つまりこの『仲介』がカード会社の仕事なので、この仕事に不備があった場合は返金してもらいたいものです。
でも多分あちらの言い分としては、本人認証である3Dセキュアは仲介だけど、そうじゃなければ仲介していないということなんでしょうね。(じゃあ、なんで手数料取られるのかなと思いましたが、便利なものをこちらが借りているわけだからしょうがないか)

でも、それならせめて、カード会社は「返金します」と、さも自分たちが被害額を被るような言い方をせず、「店に払わせます」とでも書けばいいのに。
「安心してください、皆様にお金は戻ります。私たちカード会社も店から徴収します。得するのは、詐欺師。金銭的には損しないけど労力払うのは消費者と私たちカード会社。商品をだまし取られて、お金も入ってこないのに、カード会社に手数料を払って馬鹿を見るのはお店です。」と書いてほしい。
さて、まだこれらは不正利用だろうという私の推測の段階です。
今後実際にチャージバックが来るかどうか、しばらく様子見するしかありません。
→その後、正式にチャージバック来ました。売上全部返金しました(+_+)
チャージバック被害に対策方法
チャージバックの被害対策としては3つあります。簡単に説明していきます。
1.セキュリティーコード
1つ目はセキュリティーコードです。
ネットでカード決済をしようとして、裏面の3桁、4桁の番号を入力するアレです。
ただ、この番号も不正入手されていれば役に立ちません。
今回の私の店もセキュリティーコード入力は必須ですが、通り抜けていますもんね(入力したということ)。
つまり、対策1はあまり役に立たないということです。
対策2と3は、ある程度役にたつと思いますが、どちらも私たちのような小規模な個人店がするにはためらわれる内容です。
2.3Dセキュア(本人認証サービス)
クレジットカード決済を行った後、再度VISAやMastercard等のカード発行会社に登録しているパスワードで認証を行う方法です。
これは本人認証という位置づけです。
本人認証されているとことは、カード会社が責任を負うことになり、店側が返金しないといけないことはなくなるようです。
3Dセキュア実例
例えば、セブンイレブンのnanacoへのクレジットカードチャージをしたときにこれが出てきます。
この番号、設定してない人も多いです。
また、設定しても入力する機会が少なく、忘れることもよくあります。
私もnanacoにチャージをしようとして何度パスワードをリセットしたことか。
もし、当店でのお買い物でこんな状態が起これば、高確率で購入を諦めてしまうと思い、導入しようとは思えません。
3.不正検知システム、チャージバック保険など
不正検知システム

不正検知システムは、大量の不正データと照らし合わせたりして不正の可能性があるかどうかを検知してくれるシステムで、株式会社DGフィナンシャルテクノロジーのサービスです。
画像参照:株式会社DGフィナンシャルテクノロジー内 https://www.veritrans.co.jp/payment/fraud_detection.html
ただ、契約が必要でその費用は、会社により異なりますが、
「初期費用10万円、月額1万円」や「月額6,000円」「月額3,000円」などが見られました。
今回のことが、ネットショップを10年やっていて初めての被害だったこと、商品価格(被害価格)を考えると、費用対効果として、加入するほどではないかなと思っています。
そもそも、当店のようなモールにも属していない独自とドメインの零細ネットショップが加入するには、月額3,000円でもちょっと難しいです。
もし、当店が注文が一日に数十件あって、その中にコンスタントに不正カード利用があるなら、月3,000円くらいなら検知システムを検討すると思います。
チャージバック保険
チャージバックが起こった時に、月額上限ありで被害の満額もしくは一定額を保障してくれるものです。
ただ、不正検知システム同様に月額費用が、数千円かかり当店の規模で導入するのは難しいと思います。
なぜカード会社にとっての顧客である店舗側が、年間300億円弱の不正を許すカード会社の欠陥商品に頭を悩ませる?
この不正カード利用の被害額って年間300億円弱(2019年時点。年々増えている)って知っていますか?
ってことは、カード会社は毎年300億円の詐欺にあい放題の商品を売っているってことです。
カード会社がお金をもらうのは一般消費者ではなくお店。
つまり、カード会社の顧客は店です。
不思議なのは、そんな欠陥商品を顧客に売っているのに、詐欺にあったら自分たちは被害を被らない。
その対策も店舗がお金を払って追加オプションを付ける。なんかおかしくないですかね?
普通の会社なら、リコールとか記者会見で謝るとかになりませんかね?
被害に頭を悩ませるのが顧客である店舗ってのが不思議です。
今後の展開
これを書いた2021年4月18日の段階では、まだこれ以上の進展はなく、不正注文も止まったかなと思っていたのですが、今日また注文が入りました。念のためでも、メールをしたりするのが時間の無駄で馬鹿らしい・・・。
今後は、本当にチャージバックが入ったかどうか、その時の対応などを書いていこうと思います。
不正カード利用被害でチャージバックしたときの会計処理と勘定科目
残念ながら、チャージバック確定しました。
大きな金額をカード決済会社に振り込みました。
さて、払ったはいいものの、これはどう会計処理したらいいんだろう?と思いました。
そこで税務署に電話してきいたところ次のようにしたらよいと分かりました(今回、一度カード会社から売上金を回収し、その後チャージバックで返金しています)。
注文があった日
売掛金 | 売上高 |
〇〇円 | 〇〇円 |
カード決済会社から入金があった日
預金口座 | 売掛金 |
△△円(=〇〇円-手数料) | 〇〇円 |
手数料 |
チャージバックをカード決済会社へ振込した日
雑損失 | 預金口座 |
△△円 | △△円 |
と、勘定科目は雑損失で良いとのことでした。
さて、皆様はビジネスのお付き合いなどで贈り物をすることがあると思います。ワインが好きな方に贈るワイン選び、難しいですよね。
私はそんな方々のお役に立ちたいと思って「プレゼントワインショップ」というサイトを運営しています。
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この記事を書いている人
OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ
寺井 剛史(てらい つよし)

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ