モン サン ジョルジュ

「モン サン ジョルジュ」の香りや味わいコメント

生産者 ぶどう品種 ヴィンテージ 生産国 地方
ドメーヌ ロベール ロット シルヴァネール、ピノ・グリ 2017 フランス アルザス
Alc 参考価格(税別) 輸入元 試飲日
13.5 ¥5,000 稲葉 2023/12/11

「モン サン ジョルジュ」レビュー

ワインの外観

モン サン ジョルジュの外観

ベージュの入ったゴールドイエロー

ワインの香り

グラスを回す前:カリン、パイン、黄金糖、マーマレード

グラスを回した後:干しパイン、金木犀、コリアンダー、実山椒

ワインの味わい

ややしっかり目の食感、しっかりと熟度ある果実味、熟成由来の甘みさえ感じる香ばしさ、これらがややしっかりめの酸をマイルドにしている、朽ちた果実の香り、複雑で味わい深い

その他コメント

ソムリエ寺井
オーナーソムリエ寺井
冬の茶色いスパイス料理に合わせたい
朽ちた果実のニュアンスから自然派を予想。SO2が少ないかと思ったが、その記載はなく、天然酵母の記載。
季節

グラス 温度 軽重度
(10段階)
大ぶりびわ 13℃前後 7

月額330円のエクセルには、「ワインの8段階評価」と「プライベートで買うかどうか(5段階)」も記載しています。詳しくはワインコメント一覧と会員についてへ。

「季節・温度・料理・好み・グラスについて」を読む

ワインを美味しく飲むための大きなポイントは、温度とグラスです。これらを変えるだけで全く味が変わります。私たちサービスマンはこの2つを工夫するだけでお客様に家で飲むよりも美味しいワインを提供できます。

そしてもう1つ、意外と季節でも味が全く違います。食材が変わるから?もちろんそれもありますが、料理ナシで飲んでも違うんです。温度や湿度など色々な影響を受けて味覚の体感が違うのでしょうね。

このワインコメント投稿で「合う料理」に言及することは稀(まれ)です。というのも、同じ料理名でもちょっとした味付けの違いで相性が変わり、情報として発信するには、ブレ幅が大きすぎると考えるからです。

さて、グラスについては私独自の「果実のびわ」などの言葉がでます。どんなグラスを指しているかや、飲食店や家庭で揃えるべきグラスについては今後、写真付きの記事にしたいと思っていますが、ひとまず「びわ」はいわゆるボルドー型のものと思っていただければ幸いでございます。

ワインコメント投稿のコンセプト

「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。

プロのワインコメントを知りたい時がありませんか?…でも、検索しても輸入元の説明をコピペした商品がHITし、私たち飲食業が参考にしたいプロのコメントを見つけるのは困難です。そこで自分でアップしようと思い、頑張ってアップしています。月額330円でこの情報をエクセルでまとめたものも入手いただけます。詳しくは下記をご覧ください。

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輸入元情報

「悪い葡萄から良いワインを造るというような、魔法のような方法はありません」
厳しい畑仕事が生む 品質重視のアルザスワイン

ドメーヌ ロベール ロットは、アルザスワイン街道の南端に位置するスルツ村の家族経営のドメーヌです。現在は、1992年生まれのヴィクトール ロットが、4代目としてワイナリーを引き継いでいます。ヴィクトールは醸造学を学び、地元のアルザス(ツィント フンブレヒト)、そしてシャンパーニュ(ルイ ロデレール)、トスカーナ、オレゴン、スイスなどで様々な経験を積んだ後、2017年にドメーヌに戻ってきました。所有する畑は18ha(2023年に21haに増える予定)です。先代の父と叔父の代からオーガニック栽培に転換を進め、2016年にすべての畑を転換、2019年にエコセールの認証を取得しました。
2017VTからは、必要最小限のSO2を除き、酵素や酵母などの醸造上の添加物を使用せず、人的介入の少ないワイン造りを行なっています。「私は、トレンドになっているナチュラルワインやコンセプトだけのワインを追うのではなく、とてもクリーンでおいしいワインをお客様に届けたいと考えています。なぜなら、それらには素晴らしいものもありますが、懐疑的なものも存在しているからです。ナチュラルワインという言葉が、悪いワインの言い訳になってはならないと思います」とヴィクトールは話してくれました。ロット家の歴史と変遷
ロット家は19世紀初頭よりワイン造りに携わってきました。初代のヴィクトール ロットの時代は、葡萄以外の作物も栽培する混合農業を行っていました。第二次世界大戦後、アルザスがフランス領に戻った後にワイン造りを再開し、多くの力を注ぐようになりました。彼の妻もワイン農家の出身だったため、両家の畑を統合し、またさらに新しい区画を買い足して規模を広げ、3~4ヘクタールを所有するまでになりました。
1950年代後半、2代目のロベールはさらに生産量を増やし、品質向上に努め、アルザス以外にも知名度を広げます。1970年代初頭に混合農業を止め、葡萄栽培とワイン生産に専念することを決めました。同じ頃、彼の二人の息子、パトリックとクリストフが加わりました。1986年にロベールが46歳で亡くなり、二人は若くしてドメーヌを引き継がなければなりませんでした。彼らはドメーヌをさらに発展させたいという強い意志を持って努力を重ねました。
1990年代の初めには、「ミッテルブルク」と「オルシュヴィレールブルク」の単一区画のワインの生産を始めました。またこの頃よりオーガニック栽培に向けて動き出しました。除草剤の使用量を減らし、畑の畝に草を生やす草生栽培を始めました。そして2017年に、パトリックの息子のヴィクトールが4代目としてドメーヌに参加します。ヴィクトールは様々な経験を積んだ後、醸造を担当することになりました。2018年には、「ホーンシュタイン」の畑を取得し、合計で18ヘクタールを所有するまでに至りました。ロベール ロットでは現在、ミッテルブルク、ホーンシュタイン、オルシュヴィレールブルクのそれぞれの土壌の特徴を表現した単一区画の「リュー ディ」と、複数の区画を組み合わせる創造性あふれるワインとして「テール ド グレ」、「コンポジション」を生産しています。

厳しい畑仕事をして、ハンドクラフトの品質重視のワインを造りたい
ロベール ロットでは、テロワールの本質を引き出すには、厳格かつ責任を持った畑の管理が必要だと考えています。葡萄樹とそのバランス、生育サイクル、そして環境に配慮した栽培を行っています。約60に分かれた区画のすべてにおいて、常に綿密な観察を行いながら作業を行います。畑では、量よりも質を重視しています。葡萄の品質にとって、根が地中深く伸びていることが重要です。根が土壌からミネラルや養分を吸収し、雨が降らない時期でも強い耐性を持つようになります。樹液の流れが良くなるようギヨー プーサールに仕立てることで、樹勢をコントロールして適度な収量を得ることが出来ます。栽培には化学肥料、除草剤、殺虫剤は一切使用していません。病害対策にはボルドー液、また肥料にはオーガニックのコンポストを使用しています。除草剤を使うかわりに土を耕します。耕すことで土が圧縮するのも防いでいます。これにより土壌が活性化し、畑周辺の生物環境を守り、環境への影響が少なくなります。

収穫は、機械摘みが60%、手摘みが40%です。機械が入れないようなところや、畝の並びが自然でないところだけ手摘みをしています。「アルザスでも私たちだけしかやっていないのではないかと思いますが、私たちのドメーヌでは、収穫用の機械を3年に1回買い換えています。今所有しているのは、3段階の選別機能を備えた最高の収穫機です。最新鋭の機械は非常に高価ですが、他の生産者にもこの機械を貸し出すことで賄うことができています。機械収穫のメリットは、収穫してからプレスするまでの時間が非常に短いことです。世界中で同じことが言えますが、畑からセラーへのロジスティックは極めて重要です。そのため、最高品質のワインにも機械収穫の葡萄を使用しています。葡萄畑はすべて、セラーから2km圏内に位置しているため、収穫から20分以内にプレスが出来る環境となっています。それはつまり、葡萄が酸化する前に搾汁できるということです。多くの生産者は葡萄を収穫した後、酸化を防ぐためにSO2を添加しますが、私たちはそれを行わなくて済みます」。

ロベール ロットでは、ヴィクトールの祖父の時代からの哲学として、「畑、セラーで使う機材はすべて、レンタルではなく100%自分たちのものを使う」ことを掲げています。「祖父が若くして亡くなったため、私の父と叔父は、二十歳そこそこでワイナリーを継いでいます。そうした状況では、収穫チームを結成するような人脈もありませんでした。叔父は、1980年代に収穫用の機械を購入したため、収穫用機械についてのスペシャリストといえます。ずっと昔から運転してきたため、若い世代に、どうやって運転すれば良いか教えられる知識があります」とヴィクトールは話してくれました。

異なる土壌の個性を保つために区画ごとに醸造します。醸造は可能な限り人の手を加えず、何もしない方針を取っています。醸造上の操作、補糖、酸の調整、酵母の添加、清澄などは必要ないと考えており、一切行っていません。保存のためにわずかな量の亜硫酸を添加するのみです。アルコール発酵は酵母を添加せず、葡萄およびセラーに存在する天然酵母により偶発的に行われます。そのため個々に違いがあり、発酵は数週間から数ヶ月間続くこともあります。マロラクティック発酵も自然に任せています。どのような場合でも意図的に発生させることや、止めることはありません。発酵後、澱と共に1年間、ワインによっては2年もの間、ゆっくりと熟成させます。澱と寝かせることでテロワールの個性が際立ちます。

オルシュヴィレールブルクの2つの品種をブレンド
創造性が存分に発揮された“トップキュヴェ”
リュー ディ「オルシュヴィレールブルク」のシルヴァーナーとピノ グリのブレンドによるワインです。南向き、マールと砂岩の土壌です。葡萄の平均樹齢は35年、収量は50hL/haです。「オルシュヴィレールブルク」の中心エリアはかつてアルスヴィラー(Alswiller)という村でしたが13世紀に壊滅してしまいました。フランス革命前まで残されていた「サン ジョルジュ(聖ゲオルギエス)」に捧げられた教会が有名でした。現在は葡萄畑になっている丘の名前だけが残されています。シルヴァーナーとピノ グリは一緒に収穫します。収穫した葡萄を空気圧プレスで圧搾し、澱下げします。アルコール発酵、熟成は天然酵母を用い、樽で行います。発酵後、澱と共に18ヶ月熟成させた後、フィルターをかけずにボトリングします。集約がありリッチ、樽に由来するローストやミネラルのニュアンスがあり、長く、少し塩っぽさを感じる余韻があります。

この記事を書いている人

OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ

 寺井 剛史(てらい つよし)

ソムリエ寺井剛史

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。

北九州「技の達人」認定者 / 福岡県知事表彰 受賞
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ