ヴァルポリチェッラ リパッソ スペリオーレの外観

「ヴァルポリチェッラ リパッソ スペリオーレ」の香りや味わいコメント

生産者 ぶどう品種 ヴィンテージ 生産国 地方
ヴィッラ アンナベルタ コルヴィーナ、ロンディネッラ、他 2019 イタリア ヴェネト
Alc 参考価格(税別) 輸入元 試飲日
14 ¥2,600 稲葉 2023/10/10

「ヴァルポリチェッラ リパッソ スペリオーレ」レビュー

ワインの外観

ヴァルポリチェッラ リパッソ スペリオーレの外観

青がほぼ抜けたダークチェリーレッド

ワインの香り

グラスを回す前:イチジクをシナモンとミントのコンポートにしたような

グラスを回した後:力強さ、炭、火、黒いスパイス

ワインの味わい

なめらかな食感、果実味は熟成によりややドライフルーツっぽさ、酸はしっかり、リパッソ製法による干しぶどうのような甘さ、タンニンややしっかり、秋の森やスパイスのような複雑味とほろ苦さ

その他コメント

ソムリエ寺井
オーナーソムリエ寺井
ジビエの炭火焼きが食べたい
リパッソで干しぶどうのような甘みはあるものの甘濃くはない、熟成の風味が出始めているものの、ややアルコリック。肉が強すぎても弱すぎてもワインが強くなりそうで、赤身で咀嚼が必要な肉と合わせたい
季節

グラス 温度 軽重度
(10段階)
大ぶりびわ 19℃程度 7

月額330円のエクセルには、「ワインの8段階評価」と「プライベートで買うかどうか(5段階)」も記載しています。詳しくはワインコメント一覧と会員についてへ。

「季節・温度・料理・好み・グラスについて」を読む

ワインを美味しく飲むための大きなポイントは、温度とグラスです。これらを変えるだけで全く味が変わります。私たちサービスマンはこの2つを工夫するだけでお客様に家で飲むよりも美味しいワインを提供できます。

そしてもう1つ、意外と季節でも味が全く違います。食材が変わるから?もちろんそれもありますが、料理ナシで飲んでも違うんです。温度や湿度など色々な影響を受けて味覚の体感が違うのでしょうね。

このワインコメント投稿で「合う料理」に言及することは稀(まれ)です。というのも、同じ料理名でもちょっとした味付けの違いで相性が変わり、情報として発信するには、ブレ幅が大きすぎると考えるからです。

さて、グラスについては私独自の「果実のびわ」などの言葉がでます。どんなグラスを指しているかや、飲食店や家庭で揃えるべきグラスについては今後、写真付きの記事にしたいと思っていますが、ひとまず「びわ」はいわゆるボルドー型のものと思っていただければ幸いでございます。

ワインコメント投稿のコンセプト

「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。

プロのワインコメントを知りたい時がありませんか?…でも、検索しても輸入元の説明をコピペした商品がHITし、私たち飲食業が参考にしたいプロのコメントを見つけるのは困難です。そこで自分でアップしようと思い、頑張ってアップしています。月額330円でこの情報をエクセルでまとめたものも入手いただけます。詳しくは下記をご覧ください。

ワインコメント一覧と会員について

輸入元情報

ヴァルポリチェッラ以外のエリアの葡萄に
アパッシメント(陰干し)を取り入れたユニークなワイン造り

ディエゴ コッティーニが妻アンナベルタに捧げるワイン
ヴィッラ アンナベルタは、高品質のアマローネで知られるコッティーニ家が手掛けるワインの中の、一つのブランド名です。ワイナリーはヴァルポリチェッラの北部、ガルダ湖のすぐ近くに位置しています。「アンナベルタ」は、オーナーであるディエゴ コッティーニの妻の名前で、「妻に捧げるワイン」という意味合いを持っています。ヴィッラ アンナベルタではアマローネやヴァルポリチェッラの他に、ヴァルポリチェッラのエリア外の畑の葡萄を使い、アパッシメント(陰干し)によって造るカナヤや、リパッソ製法を用いたジャイロ ロッソというオリジナリティ溢れるワインを造っています。コッティーニ家は、他にもいくつかのブランド名でワインをリリースしていますが、ヴィッラ アンナベルタのワインの特徴について「インスピレーション ワインと呼ばれていて、創造性があり、味わい、フレイバーに独自の個性が感じられます。丸みがあり、リッチな味わいで親しみやすいのも魅力です。アンナベルタへ捧げるワインで、家族への愛や献身、情熱を表現しました」と話してくれました。現在はディエゴの2人の息子(長男ミケーレが醸造担当、次男マティアが輸出、販売を担当)もワイナリーに加わり、高品質でコストパフォーマンスの高いワインを生み出しています。クオリティの高い葡萄を得るための改革
葡萄畑は標高250m~850mの斜面に広がっており、すべて南向きです。土壌は氷河によって形成されたモレーン土壌です。ディエゴ コッティーニがワイナリーを引き継いでから改革した点がいくつかあります。まずは葡萄の仕立てを変えました。それまでは伝統的なペルゴラ仕立てだったため、収量は葡萄の樹、1本当たり4kg~5kgでしたが、より高い品質を求め、ギヨー仕立てに変えました。収量は1本当たり1.5kgと減りましたが、質のよい葡萄が得られるようになりました。また、栽植密度も変更しました。以前は1ha当たり3,000本でしたが、1ha当たり7,000本にしました。これにより葡萄の根の土中での競争が激しくなり、葡萄は養分を得るために地中深く根を伸ばすようになります。これらの変革は全て、品質の高い葡萄を得るために行っています。ディエゴは、「畑作業は仕事ではなく楽しみ。良いワインが出来ることへの喜びに繋がる」と話します。この姿勢が妥協のないワイン造りにしっかりと反映されており、どのクラスのワインも素晴らしいクオリティが保たれています。

徹底的な選別作業が品質の鍵
ヴィッラ アンナベルタでは、葡萄の選別を非常に重視しています。アマローネやカナヤなどのアパッシメント(陰干し)を行う葡萄については、熟練した摘み手がいくつものチェック項目を確認しながら手作業で収穫を行います。その後、収穫した葡萄はセラーに運びこまれ、もう一度選別作業が始まります。アパッシメントは、フルッタイオと呼ばれる葡萄の乾燥室で行いますが、温風を当てて乾かすわけではなく、箱に入れて、数ヶ月もの時間をかけて、自然乾燥するのをじっと待たなければなりません。そのため、少しでも傷や腐敗のある葡萄が混ざっていると、その数ヶ月の間に葡萄は駄目になるばかりか、同じ箱の健全な葡萄の状態まで悪くしてしまいます。そのため、アマローネには収穫した葡萄の20~30%しか使用しないそうです。さらに、アパッシメントによって葡萄の水分が減るため、出来上がるワインはさらに少なくなります。しかし、ディエゴは「悪い商品を造るくらいなら、ワインは造らない」と語り、徹底的とも思えるほどの品質管理を行います。陰干し(アパッシメント)した葡萄は、プレスする前に不純物を取り除くため、しっかりと洗浄するのもこだわりです。これによって、葡萄の持つピュアな味わいをさらに表現できると考えています。

発酵・熟成容器の多様性によって、理想の味わいへの選択肢が多くなる
様々なサイズの異なるタンクを使用しています。なかでも小型のステンレスタンクを多く使用していることについて、「自分達の理想の味わいにブレンドできる選択肢がたくさんあるということ」とディエゴは話してくれました。また、この小型のものは、全てオフィスで温度管理をすることができ、最新の情報が一目でわかるようになっています。
熟成に使用する樽は3種類で、バリック、トノー(500L)、ティーニ(大樽・150hL)です。焼き加減はライト~ミディアムトーストで樽の個性が強くなりすぎないようにしています。アマローネは基本的にバリックで、ヴァルポリチェッラやI.G.P.ワインは、大樽とトノーで熟成させています。

清潔に保たれた熟成用セラー
ワインの樽熟成には適度な湿度が必要ですが、湿度が高ければカビが繁殖するリスクが生じます。ヴィッラ アンナベルタのセラーは、隅々まで徹底的に清掃が行き届いており、まさに「塵一つ無い」完璧な環境を保つことでリスクを抑えています。また、空気交換を行って常に清潔な環境を保ちます。気温は13~14度に保たれており、夏場でも18度を超えることはありません。また、最新の湿度管理用システムを導入しています。理想的な湿度(75〜78%)を保つために湿度を感知するセンサーがついており、湿度が低くなると自動で銀色の壁部分に水が流れ、湿度を上げるという最新のシステムを導入しています。また、ボトルの洗浄や殺菌に使うスチームや熱湯は、葡萄の枝を燃やすことで得たエネルギーを利用するなど、ワイナリーとしてサステイナブルな動きを心掛けています。葡萄やワインの品質管理だけではなく、こうした点でも妥協がないのがディエゴらしいこだわりだと言えます

伝統的なリパッソ製法で造る
アマローネの味筋を持った味わい
良いリパッソを造るためには、アマローネの搾りカスに果汁が残っていなければなりません。そのために、アマローネを圧搾する時の加減を調整しています。畑は標高400〜500mで、マール(泥灰土)と粘土の土壌です。畑で注意深く選別することから始まります。収穫は9月、素晴らしい葡萄だけを摘み、破砕し、ベースとなるワインを仕込みます。翌年の1月に、アマローネを造った後の搾りかすの上にベースとなるワインを入れ、20日間再び発酵させます。これが「リパッソ」と呼ばれる製法で、ドライフルーツや熟した果実、ジャムを思わせる濃厚なアロマがもたらされ、骨格のあるしっかりとしたボディのワインになります。非常にエレガント、持続性のある味わいが魅力です。

この記事を書いている人

OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ

 寺井 剛史(てらい つよし)

ソムリエ寺井剛史

大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。

北九州「技の達人」認定者 / 福岡県知事表彰 受賞
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ