「イル・コロンバローネ・ロマーニャ・サンジョヴェーゼ」の香りや味わいコメント
生産者 | ぶどう品種 | ヴィンテージ | 生産国 | 地方 |
テヌータ ラ ヴィオラ | SG | 2020 | イタリア | エミリア・ロマーニャ |
Alc | 参考価格(税別) | 色 | 輸入元 | 試飲日 |
14 | ¥3,000 | 赤 | 稲葉 | 2023/9/25 |
「イル・コロンバローネ・ロマーニャ・サンジョヴェーゼ」レビュー
ワインの外観
青が抜けたダークチェリーレッド
ワインの香り
グラスを回す前:乾燥した赤い果実、干し花、スパイス
グラスを回した後:紅茶、果実の種子、乾燥ハーブ(オレガノ、セージ)、オレンジパウダー
ワインの味わい
やや強めの食感だが乾燥してこなれている感、ドライな果実味、乾燥したタンニンは力強いが粗くなく心地よい、適度な酸、乾燥した花やスパイスの風味が豊かで華やか
その他コメント
サンジョヴェーゼらしいドライなタンニン。3年しか経っていないのにこの熟成感は大樽?と思ったが、ステンレスタンクと樽で約6ヶ月、瓶で6ヶ月(樽はバリックとトノー)。力強くも既に飲み頃でハイコスパなワイン。
季節
|
グラス | 温度 | 軽重度 (10段階) |
秋 | 大ぶりびわ | 20℃前後 | 8 |
月額330円のエクセルには、「ワインの8段階評価」と「プライベートで買うかどうか(5段階)」も記載しています。詳しくはワインコメント一覧と会員についてへ。
ワインコメント投稿のコンセプト
「同業の参考になるコメントをupしたい」という想いからです。
プロのワインコメントを知りたい時がありませんか?…でも、検索しても輸入元の説明をコピペした商品がHITし、私たち飲食業が参考にしたいプロのコメントを見つけるのは困難です。そこで自分でアップしようと思い、頑張ってアップしています。月額330円でこの情報をエクセルでまとめたものも入手いただけます。詳しくは下記をご覧ください。
輸入元情報
「金のカップで飲むに値するワイン」の言い伝えが残る土地ベルティノーロで
僅かな数量のみ生産されるエレガントなサンジョヴェーゼとアルバーナ1600年前の言い伝えが残るほど古くから知られる銘醸地
テヌータ ラ ヴィオラは、1998年にエミリア ロマーニャ州南部のベルティノーロの丘陵地に設立されました。丘の斜面からは、東にアドリア海を見下ろすことが出来ます。また一方でアペニン山脈にも近いことから、独自のマイクロクライメイトがあり、日々、穏やかな風が吹き抜けるエリアです。言い伝えによると、ローマ皇帝テオドシウス1世の娘、ガッラ プラキディアがこの地にやってきた際に質素なカップで出されたワインを飲み、「このワインは、そのような粗末なカップにはふさわしくなく、金のカップで飲むに値する(berti in oro)」と称賛したことが地名の由来とされています。現在、ベルティノーロはワインの町としても知られており、白はアルバーナから、赤はサンジョヴェーゼから素晴らしいワインが造られています。ガベッリーニ家の伝統と想いをワイン造りに表現
ワイナリーのオーナーであるガベッリーニ家は、エミリア ロマーニャ州の内陸部からベルティノーロに移住し、1962年に畑を購入しました。現在、ワイナリーを牽引するのは、ステファーノ ガベッリーニです。ステファーノは幼い頃から畑仕事を手伝っていたものの、電気技師としての道を歩んでいました。その後、父の死をきっかけに実家のワイナリーを継ぐことを決意しました。「ワイン造りはガベッリーニ家の伝統の重要な一部を占めていました。ゲストに自家製ワインを提供することは、労力をかけた葡萄に対する愛と誇りを、ゲストと分かち合うことを意味していました。その当時から、ワインはただの飲み物ではなく、人と人を結び付け、かけがえのない時間を一緒に過ごす手段のひとつでした」とステファーノは語ります。ガベッリーニ家は現在、およそ10haの自家畑を所有しており、年間生産量は5万本ほどと小規模なワイン造りを行なっています。ステファーノの目指すワインは、「タンニンはしっかりとしていていながら、クリアで、上品な果実味がありジューシーなワイン」です。そのために樽の比率を抑えながら、ステンレスタンクの他に、コンクリートタンクや、ジョージア産のアンフォラを使用しています。2010年頃から、ステファーノの目指す方向性と同じ考えを持つ、ジュゼッペ カヴィオラにコンサルタントを依頼しており、主にブレンドについてアドバイスを受けています。
オーガニックで管理する美しい葡萄畑
葡萄畑はすべて、1999年からオーガニックで管理しており、2016年には有機認証(ユーロリーフ)を取得しています。ただし、「イタリア国内ではオーガニックマークがついていると、かえって質の悪いワインとして見られてしまうことがある」とステファーノは話しており、ラベルにはあえて表示していません。また2018年からは、地中の微生物の活動を活性化するため、ビオディナミ栽培を実践し始めました。除草剤は使用せず、畝の間に生やした草を刈り取って土にすき込み、土の養分になるようにしています。日々の畑仕事や収穫はすべて手作業で行っており、選果テーブルは使用せず、収穫の際に畑で選別を行っています。「人々、そして葡萄自身の健康を維持し、個々の畑が自然のバランスを保ち、葡萄が自然なアロマや鮮やかな色合い、包み込むような調和を保つことを目指しています」。古代の海洋性堆積物が豊富に含まれる優れた土壌
ベルティノーロのテロワールを決定づける重要な要素は、「スプンゴーネ」と呼ばれる石灰を含む砂岩です。このエリアはかつて海底だったため、スプンゴーネには貝殻や砂などの古代の海洋性堆積物が豊富に含まれています。もともとは鮮新世の中期ごろに出来た海洋性の堆積物(比較的浅瀬の海)で、今から 300 万年ほど前の時代のものです。スプンゴーネはスポンジ状という意味で、地元では「スプーニョ」または「スプンゴ」と呼ばれています。特に、このエリア周辺の丘を構成している石灰を含む砂岩を指し、この土地の地質を特徴づけ、農産物、等にワインやオリーブオイルの生産に影響を与えています。この複雑な土壌組成がワインにミネラルの要素を与え、しっかりとした酸をもたらし、長期熟成出来るワインを生むとされています。ステファーノは「ベルティノーロの土壌はボルゲリに似ていますが、より繊細なタンニンを生み出します。時にトスカーナのマレンマやボルゲリのワインは、重すぎたり、熟しすぎたりしているものもありますが、自分のスタイルはそうではありません。クリーンで心地よい酸があり、風味豊かなワインです。ボルゲリとは異なり、重たくないスタイルを目指しています」と話していました。この特徴的なテロワールによって育てられたサンジョヴェーゼは、酸とミネラルが豊富な味わい深いものになります。この環境で育てられた素晴らしい葡萄から、ステファーノが理想とするエレガントなワインが生み出されます。
なるべく手を加えない昔ながらの醸造への回帰
ステファーノは、ワインの醸造の際には、天然酵母による偶発的なアルコール発酵の方が好ましいと考えています。天然酵母の方がヴィンテージや土地の特徴をよりよく表現できると思っているためです。実際に最近のヴィンテージ(2019年と2020年)はすべてのワインが天然酵母で発酵されています。ただし、天然酵母だけでは発酵がどうしても上手く行かない場合には、選別酵母を使って対応しています。天然酵母による発酵は完全にコントロールすることが難しいため、時には予期せぬ事態に直面します。例えば「イル コロンバーネ ロマーニャ サンジョヴェーゼ スペリオーレ(I-854)」は、通常なら発酵に3週間はかかっていたのに対し、2018VTはわずか10日間で終わってしまったそうです。「正直なところ少し心配していました。発酵期間が短かったため、葡萄の果皮からの抽出があまり多くなかったからです。しかし、ボトリングしたワインはどんどんエレガントになったため、非常に気に入っています」とステファーノは話していました。また、一部のワインでは、発酵や熟成にアンフォラを使用しています。アンフォラはジョージアまで行って探してきたそうです。「樽を使うことを悪いと思ってはいません。樽を使うことは素敵な服を着せるようなものですが、一方でアンフォラは裸、ピュアな姿を表現できます」。現在も古いバリックは使用していますが、使用比率を下げ、大樽やコンクリートタンク、アンフォラを使うことで、木樽の風味が付き過ぎないようにしています。
樽とタンク熟成させ、巧みにブレンド きれいで上品な果実味が広がります「イル コロンバローネ」は、ラベルに描かれている、畑からベルティノーロの丘の上へと続く道の名前に由来します。二つの小さな畑の葡萄で造っています。畑の標高は海抜100m、南東向き、栽培はコルドン スペロナートで、栽植密度は5,000本/haです。9月に収穫します。攪拌しながら、温度管理の下ステンレスタンクで14~21日間発酵させます。主にステンレスタンク、残り(ヴィンテージによって異なりますが50%以下)を2回使用したフレンチオークのトノーと一部バリックで6ヶ月熟成させ、さらに6ヶ月瓶熟させます。紫がかった輝きのあるルビーレッド。新鮮なチェリーのアロマにエレガントなスミレの香りやスパイス、かすかにミネラルのニュアンスが感じられます。口に含むと、たっぷりとリッチ、瑞々しい果実味が感じられます。非常にエレガントで調和のとれた味わいを持っています。
この記事を書いている人
OFFICE GO SEE代表 / プレゼントワインショップ®オーナーソムリエ
寺井 剛史(てらい つよし)
大学生のころのアルバイトがきっかけでソムリエを目指す。
ホテル入社後、『サービス、接客』の虜に。2004年、日本では珍しいフリーのソムリエとして独立。
多数の飲食・小売店でサービス向上による売上増のコンサルティング事例アリ。
「ワインを贈りたいけどワイン選びが分からない」方のために、プレゼントワインショップを設立。
技能グランプリ レストランサービス部門 全国3位
レストランサービス技能士1級
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ